【概要】
SIMロックとは携帯通信事業者から販売された携帯電話機に対し、利用することのできるSIMカードが制限されている状況のことを指します。
携帯電話機メーカー(Apple・Google・SONYなど)から直販で購入した携帯電話機は原則、SIMフリー(SIMロックが元より施されていない)状態で販売されています。
■SIMロックの影響を受ける行為の例
・SIMロックが有効な状態では、携帯電機販売元以外の携帯通信事業者が発行するSIMカードを使って音声通話やデータ通信を利用することができない。
(具体例)
NTTドコモから購入したiPhone(SIMロック未解除・非対応)にNTTドコモ以外の通信事業者が発行するSIMカードを挿入しても音声通話やモバイルデータ通信を利用することができません。
■SIMロックを解除することで得られるメリット
・携帯通信事業者(国内/海外)を変更しても通信方式や対応周波数が合えば、同じ携帯電話機を利用することができます。
→新たに携帯電話機を購入する必要がない。
→携帯通信事業者変更のハードルが下がる。
・売却の際、買取価格(売価)が高くなることが見込める
などが挙げられます。
【SIMロックが施されている原因】
所有している携帯電話機にSIMロックが施されている場合は次の原因が考えられます。
①SIMロックの解除ができる状況であるが、契約者もしくは利用者が解除手続きを行っていない。
②携帯電話機の本体代金を分割で支払う契約が締結されている。
③携帯電話機の本体代金をキャンペーンなどの特別な割引を受けて購入した際、SIMロック解除のための条件が設定されている場合。
④SIMロックの解除に対応していない機種である。
【SIMロックを解除する方法】
①〜④は前項(【SIMロックが施されている原因】)に対応します。
①SIMロックの解除を希望する場合は携帯通信事業者所定の手続きを行うことで、携帯電話機のSIMロック解除を行うことができます。
②と③については、携帯通信事業者との契約を確認し、SIMロック解除の条件を確認しましょう。
契約申し込みの控えなどにSIMロックの解除を行うことができない期間が記載されています。
※多くのSIMロック解除条件として契約締結日(端末購入日)から100日以上経過することでロック解除ができる場合が多いです。
SIMロック解除条件を満たすことで、携帯通信事業者所定の手続きで携帯電話機のSIMロック解除を行うことができます。
④にあてはまる携帯電話機は通信事業者によってSIMロック解除はサポートされていません。
しかしながら、公式の手順以外でSIMロックの解除ができる可能性があります。
※海外の業者からSIMロック解除コードを購入する,端末のソフトウェアに改造を加える など…
※自己責任にて行う必要があります。
なお、SIMロック解除方法の詳しい手順については、次の記事が参考になります。
SIMロック解除の解除手続き・解除方法のまとめ
【SIMロック解除義務化までの沿革(日本)】
■「SIMロック解除ガイドライン」が示される前(〜2010年)
携帯通信事業者は携帯電話機を値引きすること(携帯通信事業者が代理店に対して多額の販売奨励金を支払うことで実現)により端末を安価で販売(回線契約を締結)し、通信料で端末代金を回収するモデルを採っていました。
2007年に開催された総務省の有識者会議により「通信料金と端末代金の分離の推進(販売奨励金の在り方の見直し)」と「SIMロック解除の推進」などが挙げられました。
当初は携帯通信事業者独自規格(通信規格・対応周波数や独自サービス[iモード/ezWEB/Yahoo!ケータイなど]が詰まった端末がほとんどであり、SIMロックが解除された携帯電話を他事業者で利用するメリットは多くありませんでした。
■「SIMロック解除ガイドライン」が示された後(2010年〜2014年12月)
LTE(通信規格互換性の解消)の開始やスマートフォンの普及(AndroidやiOSといったプラットフォームの普及)により独自規格の壁がなくなる目処が立ったことにより、総務省は2010年に「SIMロック解除ガイドライン」を示しました。
しかしながら、携帯通信事業者により対応はバラバラであり、全く対応しない事業者もあるほどでした。
■SIMロック解除義務化へ
SIMロックの解除に消極的な携帯通信事業者があることにより、「SIMロック解除ガイドライン」が2014年12月に改定されました。
改定したガイドラインには「2015年5月以降に発売される携帯電話機はSIMロック解除に応じること」が明記され、強制力を持つようになりました。
ガイドライン改定後もSIMロック解除手続きができる人の制限(携帯通信事業者から携帯電話機を購入した本人に限る)や、手続きができる期間の制限(契約継続中または解約後〜日以内など)がありましたが、2019年9月1日以降は盗品・不正取得品や割賦残債未納(赤ロム)でない2015年5月以降に販売された携帯電話機は誰でもSIMロック解除手続きが行えるようになりました。
(2020年10月追記・表変更)
また、2020年4月にはauが同年10月にはソフトバンクが「解約済み購入者本人・譲受人」でもSIMロック解除のオンライン手続きが可能となったことにより、SIMロック解除手続きは原則オンラインで済ませることができ、オンライン手続きに限りますが手数料も発生しません。