【概要】
MVNO(エムブイエヌオー)とはMobile Virtual Network Operator(モバイルバーチャルネットワークオペレーター)の略語であり、和訳すると「仮想移動体通信事業者」です。
総務省の定義では「MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、当該移動通信サービスに係る無線局(基地局)を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者」としています。
すなわち自前において基地局を所有・運用せず、MNO(移動体通信事業者)からの回線帯域の卸売やMVNO事業の構築支援を営む事業者(MVNEと呼ばれる)の提供する機能を利用し、自社のブランドで携帯通信事業を行っている事業者のことをさします。
自前において用意する通信ネットワーク設備がMNOと比べ少なく、サービスの勧誘・提供・販売や窓口業務の経路をインターネット上に重点を置くことでコストが下がり、最終的には利用者が支払う月額料金が大手通信事業者よりも大幅に安くなることから「格安SIM」とも呼ばれています。
日本では多数のMVNO事業者が存在し、大手インターネットプロバイダー企業の他、ITサービス業・ケーブルテレビ提供事業者・大手流通グループなどが事業を営んでいます。
【MVNOの通信速度問題】
MVNO事業者はMNO事業者との間で帯域卸(いちどに通信できる幅)契約を結んでいるケースが多くあります。
帯域卸の特徴としてMVNOはMNOに対して、帯域に対するレンタル料の支払いが固定費となるため、利用者が多くなるほど1利用者に係るコストが抑えられることにあります。
しかしながら、お昼休みの時間や通勤・通学・帰宅ラッシュなどにおいて、大人数の利用者が同じMVNO事業者の通信を利用した場合、一度に通信できる幅を大人数で分け合う必要があるため、通信速度が著しく低下し、場合によっては利用することが難しい程度まで品質が低下する事象が見受けられます。
MVNO事業者は常に帯域が逼迫しないように帯域幅を追加で契約したりすることでネットワーク増強に取り組んでいますが、採算性などとのバランスにより大変苦慮している問題でもあります。