【概要】

携帯電話不正利用防止法は日本の法律であり、携帯電話を利用した犯罪の増加に対応するために、2006年4月1日より全面執行された法律です。
なおこの法律の正式名称は「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」です。

【背景】

この法律が成立する前は、携帯電話の契約を結ぶ際に一部の契約において、本人確認資料が不要なケースがありました。(プリペイド携帯など)
社会背景として、本人確認資を行わなかった携帯電話が「振り込め詐欺」などに悪用される事件が多く発生しました
そのような不正利用を防ぐために、携帯電話の契約時に本人確認と本人確認実施の記録を保存することを同法に定めました。

法律制定の背景
出典:NEW Rules 携帯電話不正利用防止法-総務省:電気通信消費者相談センター
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/050526_1.files/keitai-pamflet.pdf

【法律の対象となる契約】

携帯電話不正利用防止法の対象となる契約は「090/080または070」から始まる携帯電話番号を用いた音声通話が利用できる契約です。

データ通信用の契約(SMS受信可否問わず)はこの法律の対象ではありません。
ただし、IP電話(050から始まる電話番号による発着信)サービスを共に提供した場合は、携帯電話不正利用防止法の対象とはなりませんが、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認が必要となります

【法律の対象となる行為】

・新規契約
・契約(電話番号)の譲渡※
・契約(電話番号)の貸与※
※契約にはSIMカードの譲渡・貸与も法律の範囲内に含まれます。

【契約者が負う責任】

契約者は次に挙げる行為を行った場合、携帯不正利用防止法違反となります。
・本人確認において虚偽の申告(氏名・生年月日・住所等)や偽装した本人確認資料を使用して契約を行った場合。
・契約(SIMカード等)を携帯通信事業者に知らせずに譲渡や売却をした場合※
※譲り受けた者も同様に処罰の対象となる可能性があります。

【法律の対象となる事業者】

・携帯通信事業者(MNO/MVNO)
・携帯通信事業者の取次店・代理店・媒介(販売店)
・携帯電話回線レンタル業

【法律で認められている本人確認資料】

■本人確認資料として法律で認められている資料(現住所と記載住所が一致している場合)

運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、乗員手帳、在留カード、各種保険証、国民年金手帳・身体障害者手帳、印鑑登録証明書、戸籍謄本又は抄本、住民票の写し又は記載事項証明書、その他官公庁から発行された氏名・住居・生年月日の記載がある書類

なお、携帯通信事業者によっては提示する本人確認資料によっては2点以上の提出を求められる場合があります。

■現住所と本人確認資料の記載住所が一致していない場合

現住所と本人確認資料の記載住所が一致していない場合、追加で下記資料の提出を求められます。
国税、地方税の領収証書
納税証明書
公共料金※の領収証書など
※政府等が料金水準の決定や改定に直接関わっている料金
例)電気、ガス、水道、NHKの受信料

【罰則】

携帯電話不正利用防止法 第21条により、罰則が定められています。
携帯電話不正利用防止法に違反した場合
【業としていた場合】2年以下の懲役か300万円以下の罰金もしくはその両方が課せられます。
【業としていない場合】50万円以下の罰金が課せられます。

なお、同法以外にも偽装した本人確認資料などを用いた場合は、「公文書偽装・行使」/「私文書偽装・行使」ならびに「詐欺罪」に問われる可能性があります

携帯電話の不正取得ならびに不正契約に対する取組みについて-NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/081126_00.html
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